――『クローズ ZERO』に出演することになったきっかけを教えて下さい

「きっかけはオーディションです。「クローズ」が映画化されるという話と、その出演者のオーディションがあることは前から知っていたので、プロデューサーの山本さんに呼んで下さいってお願いしました。なんとしてでも出演したかった作品だったので、受かった時は本当に嬉しかったです」

 

――最初から戸梶役としてのオーディションを受けたのですか?

「いや、初めから戸梶役というのはまったくなかったです。オーディションでは最初の病院のシーンを演じたんですけど、俺は辰川時生役(桐谷健太)を演じました。だからオーディションの時は、受かってもどの役をもらえるのかはまったくわからなかったんです。それで約1カ月後に結果が出て、そこで初めて戸梶役だということがわかりました」

 

――凄い濃いメンバーですけどみんな仲が良さそうですよね! 

GPSGenji Perfect Seiha=源治・完全・制覇)と芹沢軍団は本当に仲良かったです。映画の中では対立していますけど、撮影が終わると夜はいつも一緒にいました。あのメンバーはみんな面白いんですよ。役の中とはまた違うキャラクターがそれぞれにあるんです」

 

――撮影期間中、一番仲が良かったのは誰ですか?

「(山田)孝之と健ちゃん(桐谷健太)だと思います。現場はもちろん、現場以外でもよく一緒にいました。ふたりとは撮影が終わってからもよく遊びます。ただ孝之が取材で『クローズ ZERO』の共演者を紹介することがあったらしいんですけど、俺の紹介の時に“あいつは電話が多すぎ”って言ってたらしいです(笑)。同じ芹沢軍団というのもあるんでしょうけど、演技のことに関しても、ふたりとは色々話し合いました。経験はふたりのほうが全然あるので、勉強になりましたし、健ちゃんは新人の俺に演技の意見を求めてきて、それを真剣に聞いてくれるんです。そういう姿勢も学ばなきゃなって思いました」

 

――監督が三池監督で出演者も男ばかりの映画ですけど、現場の雰囲気はどうでしたか?

「異様な程楽しかったです。孝之は色々な現場を見てきてるけど、“今までの現場で一番楽しい”って言ってました。俺も初めての大きい現場だったけど、本当に面白かったです」

 

――三池監督から演出や演技のことで言われて印象に残っていることはありますか?

「三池監督は基本的に何も言わないんです。全員じゃないですけど、俺らが演じたのは原作にはいないオリジナルのキャラクターなので、自分達である程度設定など作っていけたんです。その自分達がそれぞれ作ったキャラクターを、三池監督が上手く生かしてくれるといった感じです。本当にその場その場で新しいものを作り上げていくので、ライブみたいな感覚で楽しかったです。だから演出に関して三池監督からは、ほとんど何も言われなかったです。服装に関してだと、サングラスは自分の発想です。自分の中で戸梶勇次っていうキャラクターを作りたかったんで、脚本もらった時からずっと考えてて、サングラスかけて何か考えてそうだなと。タバコ吸う設定もなかったんですけど、策士ってタバコ吸いながらいつも考えてそうな感じするなって。だから本当はタバコ吸えないんですけど、ヘビースモーカーっていう設定で(笑)」

 

――策士という設定の割には、クールというより熱い感じを受けたんですが

「それも自分で設定しました。戸梶という役を色々考えたら、12年の時は多摩雄のライバルだったんだから、頭脳だけじゃそこまで行けないと思いました。そこで一番頭がキレるけど、一番危ない役っていうの自分で作りたかったので、そこも三池監督に提案しました。そしたらとりあえず1回やってみようってなるので、台本にない本当にその場その場のライブ感覚です。最初の台本と出来上がった作品を比べると、23割は変わってると思います」

 

――三池監督はそういう提案を全部受け入れてくれたんですか?

「ほとんど受け入れてくれました。とりあえず1回はやらせてくれて、それで判断してくれます。あとは、三池監督に俺ひとりのシーンを下さいってお願いして、実際にひとりのシーンをもらったり、本当は俺が出てくるシーンじゃなかったんですけど、監督に提案して俺が出てくるシーンに変えてもらったりしました。きちんと役者の意見に向き合ってくれるので、本当に役者を愛してくれる監督だなと思いました」

 

――ほかに三池監督とのエピソードはありますか?

「あるシーンで多摩雄と対峙するシーンがあるんですけど、そこで三池監督に“あくまでも芹沢多摩雄が一番だから、今は戸梶のほうが強く見えちゃった”って言われました。そこの微妙な感じが難しくて、このシーンは結構やりました。言葉の口調とかも、多摩雄をたてながらっていうのがあるから…本当に芝居って難しいなって思いました」

 

――自分が一番苦労した、もしくは辛かったシーンは?

「ひとりで雨の中立っているシーンは辛かったです。雨のシーンは、何百メートルって範囲を5本のホースで雨を降らせてるように見せるんですけど、そのひとりのシーンは5本のホースからの水が全部俺に来るんです。だから一瞬でびしょ濡れになるし、コンタクトも外れて練習の時は目も開けてられなくて。でも本番ではスイッチが入ったのか、いくら目に水が入っても気にならなかったです。練習からきちんとスイッチが入らなきゃダメなんですけどね」

 

――自分を思う存分出せたシーンはありますか?

「伊崎瞬(高岡蒼甫)と対峙するシーンは自分を思いっきり出せました。戸梶と伊崎は同じぐらいの位置にいる者同士なんで、多摩雄とのシーンの時のように自分を作る必要がなく、ありのままの自分でいきました。うしろにたくさん手下を引き連れているのも凄い気持ちよかったです(笑)」

 

――乱闘シーンは凄い迫力でしたけど、本当に当たってたりするんですか?

「あれは…当たってました。俺と蒼甫君がタイマンするシーンがあるんですけど、俺のお腹の中にちゃんとマットを仕込んでたのに、最初の一撃が思いっきり俺の右腿に当たっちゃって。俺は耐えようとしたんですけど、痛くて素でこけちゃいました。そのあとも見事に俺の腿に当たって、凄い腫れちゃったんです。ほかのみんなも実際に当たってたみたいで、たしか孝之が(小栗)旬を殴っちゃったことがありました。でも拳や蹴りが当たったからといっても、そんなのは関係なかったです。それでいいものが作れるならってみんな思いながら演じてたと思います。あと乱闘シーンは大勢のエキストラの人達が本当によく頑張ってくれました」

 

――どれでも好きな役をやらせてもらえたとしたら、どの役を一番やりたいですか?

「(桐島)ヒロミ役がやりたいですね。原作のヒロミが凄い好きで、あっ! ヒロミか阪東どっちかです。でも今回のふたりは原作とは結構違うんです。阪東は漢気はあるけど、もっとキレてて危ない奴ですから。ヒロミも原作ではもっと危ない奴です。あとやりたい役とは違いますけど、一番おいしい役だと思うのは牧瀬(高橋努)だと思います。一番幅のある芝居を見せられるので、いいなぁという言う思いはありました。凄いふざけてるシーンも、シュールなシーンもあるので。戸梶は幅を見せられるところがあまりなかったんです。でも牧瀬はおいしいなとは思いますけど…一番やりたいのはヒロミか阪東です」

 

――戸梶役の目線から見て、こいつと一緒にやっていきたい、こいつとは仲間になれないというのはありますか?

「時生とは凄い仲良くやっていけると思います。戸梶ってあまり友達がいるタイプじゃないと思うんです。それは役をやっていくうちに思ったんです。でも時生は良き理解者だし、多摩雄と対立してたあとも時生が間を取り持ってくれたと思うんですよ」

 

――時生がいなかったらいつまでも多摩雄と対立してたと

「そうだと思います。だから時生とは凄い仲良いし、時生のことを一歩引いたところから戸梶は見てる。同じように、時生も戸梶のことを一歩引いたところから見てると思います。だから良い関係だと思うし、戸梶にとっては一番仲が良いんじゃないかなと。多摩雄はあくまで“頭”として認めたので、仲が良いのとは違います」

 

――映画には出てこない部分でも、色々な人間関係が想像出来ますよね

「ひとつ年下の筒本(上地雄輔)の面倒を一番見てるのは戸梶だと思います。多摩雄は憧れの先輩で、時生は優しい先輩。でも戸梶はちゃんと面倒見てる感じです。あと戸梶と伊崎は元々何か因縁があったんだろうなって思いました。戸梶も伊崎のことを恐れてるのか、過去に何かあったのか、男として一目置いてるなっていうのがわかります」

 

――男が観るとまさに血沸き肉踊る映画だと思うんですが、女性にはどういったところを観てほしいですか?

「女性は9割、旬に目が行くと思います(笑)。映画を通して、男ってこういう生き物なんだよっていうことをわかってほしいです。あと個人的には、戸梶が芹沢軍団にとっていかに重要な存在だったかってとこをわかってもらいたいです。戸梶がいなかったら、芹沢軍団は確実にあそこまで大きくなってなかったと思うので」

 

――作品の中でも戸梶が陰で行なう策士ぶりが出てきますけど、ほかにもきっと芹沢の見ていないところで戸梶は軍団のために色々画策してましたよね

「俺もそう思います。戸梶は軍団のことを本当によく考えながら行動してるので、悪さを色々やってきたと思います。それは決して褒められることではないけど、軍団のためを考えてやってたんだろうなって感じられます」

 

――それを時生は知っていながらも見逃していたと。もちろん芹沢にはばれないように

「まさにそうかもしれないです。時生は全て知っていたと思いますよ。でも時生がうまく間に入ってくれて、多摩雄には通さないようにしてくれていたんじゃないかと。時生は自分がしたくても出来ないことを、戸梶にやってもらっていたのかもしれないです」

 

――そんな戸梶という役に共感出来るところは?

「ちょっとひねくれてるけど、一番仲間思いだと思います。そこは共感出来ます。あと口にはあまり出さないけど、本当に仲間と軍団を考えてるところも凄いわかります。だからこそ、あんな策も立てられるのかなと思います。逆に敵に回したら一番怖いとも思いますし、自分から見ても決して敵には回したくないです。きっと敵からしたら本当に嫌なタイプなので」

 

――これから観る方に戸梶勇次のここを観てくれっていうところを

「色々と裏でやっているので、男の腐った悪い奴っていう印象を持つかもしれないんですけど、ちゃんとそこには軍団のことを思ってるっていう意味があるので、そこを感じて頂ければ嬉しいです。全ては最後のほうにある雨のシーンを観てもらえれば、戸梶のこと、本心が少しはわかってくれるんじゃないかなと思います」

 

――作品全体としての見どころは

「なんと言っても、ひとりひとりのキャラクターが際立ってて、みんなかっこいいことです。これは観てもらえればすぐにわかります。本当に凄いかっこいい作品になってますので、是非観て下さい!!」

 

――それではここから『遠藤要 ZERO』に移ります(笑)。芸能界に入ったきっかけを教えて下さい

「色々あったんですけど、知り合いのレコード会社の方が最初に背中を押してくれたのがきっかけです。実は俺、今まで色んなことやってたんです。仕事も6年間土方やってて、俺の夢ってなんだろうとふと思った時に、夢がなくて。だったら俺みたいな人を興奮させたり、感動させてり、メッセージを与えるような人間になりたいなって思ったんです。それならまず知名度を上げなきゃなってところから入ったのが、芸能界だったんです。そこで考えて、まず自分で作曲してライブをやりました。ボーカルとギターと、ピアノも少しですけど出来ます。あとは自分で脚本を書いて、それを老人ホームで演劇をやらせてもらいました。何か書くのは昔から好きだったんです」

 

――その脚本のストーリーは?

「『人間って馬鹿なんだよ』っていうタイトルで、簡単に言うと“人間は馬鹿だから失ってから初めて色々わかるんだよ”っていう内容で、自分の体験をもとにしています。小さいころにお母さんが亡くなっておばあちゃんに育ててもらうんですけど、しつけにうるさいおばあちゃんだったから反抗して悪いこともしちゃって。でも中学の時におばあちゃんを亡くして、その時初めておばあちゃんの偉大さがわかって、もう会えないおばあちゃんに“本当は好きだったんだよ、今までごめん、これからはいいことするから”って誓って終わるんです。劇が終わって恐る恐る前を見るとシーンとなってて、おじいちゃん、おばあちゃん、施設の人までみんな泣いてくれていて。俺でも人を感動させられるんだって思ったら、自分も凄い感動しちゃいました。そこで俺役者になろうって思ったのがきっかけですね」

 

――役者になろうと思ったあと、具体的にどんな行動を起こしましたか?

「とにかく色んなところを回ろうと思って、役者事務所を…50以上は回りました。それも履歴書とかを出すんじゃなくて、直接会いに行って挨拶しました。そして色々あって、最終的に今の事務所にお世話になってます」

 

――憧れや目標としている俳優さんはいますか?

「凄いなって思う人は真田広之さんや渡辺謙さんです。やっぱりいずれは海外にも進出したいです。まだまだ先の話だと思いますけど、目標は大きいほうがいいと思うので。でも英語がまったく喋れないので、演技と並行して英語の勉強もしなくちゃいけないですね」