人はとても弱い。
自分を護ってくれるはずの家族の前でも
嫌われたくないと嘘をつく。
他人にはなおさら。
山田孝之という人は、齢24年という
若さで常に“自分”で居ようとしている。
特別に自分をひけらかさず、卑下も
せず…以前は、そういう姿に痛さを
感じ、生き急ぐなと声を出したくなる
こともあった。
連載することが決まってあわてて引出し
たものではなく、以前から溜めていた
という言葉という心模様。
彼の言葉の一語には、表と裏の二意
があり、示す先には未来がある、心が
ある。ぽつりぽつりとこぼれ落ちる言の
葉を集めると、彼の全てを観じることが
できるのだろうか。
井上由美