愛と憎しみの世界の隅っこで

 

愛と憎しみの世界の隅っこで。

そう、君の支配する世界の隅っこだ。

気づいているかい?

君の眼の届かないところで密かに生きている人たちがいる。

愛さない、憎しみをもたないで、

他者と無関心無関係に生きることを決めた人たちだ。

 

「まぁなんて罪深いでしょう。」

君と君の母は目を見開いて嘆くことだろう。

確かにこの世界では、最も罪深い生き方なのかもしれない。

もちろん、他者と交わり愛や憎しみが語られるこの世界では、正しいとは言えない。

 

でもさ、私は別に悪くないと思うだ。

 

愛されなかった人

憎しみだけを与え続けられた人

その孤独と絶望を誰が理解できるだろう。

その深い悲しみを誰が癒せるだろう。

 

それでも彼らは生きようと決めただ。

生きていこうって。

意識してか無意識なのか。

 

考えて考えて考えた。

どうしたら愛のない世界で憎しまずに

他者のなかで何とか生きていけるのか。

何時間も何日も何年も。

厚い厚い氷の中で。

 

そして、1つの答えを見つけた。

それは、「愛さない、憎しみをもたない」こと。

ただ心を閉ざし、他者と無関係無関心に生きること。

 

君は否定するかい?彼らの生き方。

私は・・・できない。

だって私は知らないから。

 

その経験を。11秒じゃないよ。長い長い経験だ。

想像もつかない。

そこで受け続けた悲しみも。孤独も。絶望も。

私の一生分の涙なんか目ではない。この大雨も。

 

ふと時々思うことがある。

どうして誰も一度も手を差し出さなかったのかって。

こんなに長い時があったのだから声だけでもかける瞬間はいつだってあったのではないか。

彼らを悪者にしたり退け者にして「はい、終わり」はきっと間違っているだ。

 

もうひとつ、時々思うことがある。

彼らには密かに才能があるのではないかって。

悲しみも絶望も耐えて生きようとする生命力はすさまじい。

地球滅亡が近付いて生きるのがすごく難しくなった時、最後まで生きていけるのはもしかしたら彼らかもしれない。

 

でも最後に。

やっぱり彼らも思っていることがある。

愛したい。愛されたい。

特別なことではないけれど、特別なこと。

みんな本当は、そういう君の世界で生きてみたいと思っている。

願っているのだ。

 

以上、愛と憎しみの世界の隅っこから。