棕櫚・著

 

 

1ページめ

幸せそうに笑う君は、もう少しで僕と共にここから消えることになる。

何も知らない君は、何を思って僕に微笑むのか。

なんの罪もないのに。

君は幸せな家族から僕に奪われるのだ。


2
ページめ

僕もそうだった。

気がついたら、人の魂を運ぶ「天使」の役目を押し付けられていた。

何も知らないままに、幸せな家族から奪われて。

母親は冷え切ったベビーベッドと死亡診断書を胸に、泣く。

僕もこうして家族を悲しませたのだろうか。

こんなに愛されてあの世界を離れたのだと、「神」の声が頭に響く。

そしてこの悲しみをあの世と離れた魂と分かり合えるのも、貴方だけなのだと。


3
ページめ


「死」とはなにか?この魂があの世に生きた証は今、「死亡診断書」の1枚と、

 家族の涙だけだ。

「天使」とは「悪魔」か?

「神」は何故魂をあの世から奪うのか?

「運命」とはなにか?

 天使とは名ばかりの役目を神に押し付けられて間もない僕には

 まだそれは分からない。


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 貴方が「生」と「死」について受け入れられた時、貴方は再びあの世へ

 旅立つことになる。

 幼くしてあの世から旅立った魂だけが天使になる。

 それは「生」と「死」の意味を知らないからだ。

 その意味を貴方はもう少しで知ることになるだろう。

 その時はまた、貴方の新しいの「誕生」を祝福しよう。


 「神」は再び、死の運命に引き寄せられた幼い魂を

 「誕生」という新たな道に導くために手を差し伸べる。