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2010年10月25日 (月)

舞台『タンゴ』出演の
奥村佳恵インタビュー!!

Kae_okumura

2008年8月に上演された『音楽劇  ガラスの仮面』。美内すずえ原作による人気マンガを音楽劇として上演した本作は、蜷川幸雄が演出を手がけるということに加え、もうひとつの話題でもちきりだった。主人公である北島マヤのライバル・姫川亜弓を演じたのは、本作が初舞台となった奥村佳恵。2330名の中からヒロインの座を射止め、世界のニナガワに見出された逸材は、その堂々とした演技でまたたく間に演劇界に知れ渡った。第2弾の『音楽劇  ガラスの仮面~二人のヘレン』は今夏上演され、同じく姫川亜弓役で登場した奥村は、更にパワーアップしていた。そんな勢いのまま、11月には新作舞台の初日が控えている。森山未來主演、長塚圭史演出の『タンゴ』では、主人公を惑わせるヒロイン、アラを演じる。本番が迫る中、話を聞いた。『タンゴ』について、あるいは前途洋洋な将来について……。

おくむら・かえ
1989年5月31日生まれ、大阪府出身。2008年に彩の国ファミリーシアター『音楽劇  ガラスの仮面』(蜷川幸雄演出)で女優デビュー。以降、さいたまゴールドシアター『95kgと97kgのあいだ』、『音楽劇  ガラスの仮面~二人のヘレン』に出演。テレビ朝日ドラマ『エンゼルバンク』でレギュラー出演するなど映像面でも活躍中。
キューブ オフィシャルサイト  http://www.cubeinc.co.jp/

――稽古開始から今日で2週間が過ぎたそうですね。
「いよいよ本格的にお稽古が進んで行くという感じです」

――『タンゴ』はポーランド演劇界の巨匠・ムロジェックの名作です。とりわけ異様な家族を描いていますが、作品はコメディーとして作られるとお聞きしました。
「そうなんです。私も最初に台本を読んだ時、"これをどうやって喜劇にするんだろう"って思いました。演出の(長塚)圭史さんからは、この作品をコメディーと捉えて描くということは稽古を前にお聞きしたんですが、今の段階では、具体的にどこを笑いどころにしようとかはまだ決まっていません。でもみなさん凄い人達ばかりだから、稽古場で演技を繰り返す度に面白くなっています」

――確かに凄い顔ぶれですね。
「私以外は(笑)。ホントにキャリアと実力のある人達に混じっているのが凄い緊張なんですけど。今、稽古場では特に固めることはせずに、みなさんやる度に色んなやり方を駆使していて、どんどん面白くするんです。芝居の途中で止められることもほとんどなくて、場合によると一幕まるごと止めずに通して稽古するんですよ。何度も通していくことで、先輩のみなさんには同じことはしたくないという意識があるのか、見ているといつも違うことをやっているように見えるんですよね。だけど私はまだわかんないことだらけだから、追いつこうと必死です。ただ、みなさんと最初にご一緒した本読み稽古の時から凄く面白くて。今は立ち稽古に入っていて、もっと進化して、更に面白くなっています。自分の出るシーン以外のところは、ある意味観客みたいな感じで先輩方の稽古を見ています。みなさんの稽古を見られるだけでも凄い経験です。"これはもう絶対面白くなるんだ!"と感じて、興奮しました」

――これまでは蜷川幸雄さんの現場で舞台経験を積んで、『タンゴ』は長塚圭史さんによる演出です。現場はいかがですか?
「稽古方法から驚きの連続でした。立ち稽古に入る前の本読みの時から続いているんですけど……。セッションというか話し合いの時間があるんです。台本を元に意見交換しながら稽古を進めていくんですね。そこに全く独裁的な雰囲気はなくて、役者がどう思うかを大事にしてくれているのがわかります。蜷川さんはどちらかというとみんなを引っ張って、"さあ、やってみろ!"という感じの演出家さんなので……。長塚さんはそうやって意見を求めて、全キャストに対して同じスタンスで付き合ってくれます。みなさんはそれぞれ意見を出し合っているけど、私はわからないことだらけで意見するなんてレベルじゃなくて。圭史さんの印象は、"爽やかな教授"(笑)。若々しくてフレッシュな先生って感じで。おっしゃることがとてもわかりやすいんです。本当に頭のいい人は相手にわかるように話すことが出来るじゃないですか。圭史さんは私にもわかるように話して下さるんで」

――共演者のみなさんとは打ち解けましたか?
「昨日、全キャストが集まった食事会があったんですけど、ずっと緊張してました。"よろしくお願いします"くらいしか言えなくて(笑)。今は稽古場で芝居の壁にぶち当たっている最中で、7時間近くある稽古時間の大半を、私が出来るようにするために費やしてくれた日もありました。みんなに諦められないように頑張らないといけないですね」

――今回、ブログにご登場頂くにあたって、奥村さんご自身の話を教えて下さい。『ガラスの仮面』のオーディションを受けるまではクラシックバレエに打ち込んでいたとか。
「オーディションを受けるまで、いわゆる芸能界には全く興味がありませんでした。やっぱり私は小さいころからやっていたバレエを続けたかったんですね。だけど本当にへたっぴで実力が伴っていなかったので、将来、どうやって食べて行こうかと悩んでいたんです。自分はバレエで生きて行くのが難しいのかなと最初に思ったのは、中学生の時でした。オーディションを受けた高校3年の夏は周りの影響もありました。同級生の中でも就職する人は決まっていき、進学する人は勉強している。私、勉強はもうこれ以上嫌だと思って進学は考えられなかった。それから性格的にやりたいと思ったことじゃなければと続けられないなと思ったので、就職の道も違うんじゃないかと思って。バレエの先生をしている母にも度々相談していたんです。私が悩んでいたことも母はよく知っていたので……。私が学校で応援団の振り付けをしたり、文化祭でお芝居を作ったりして、自分を表現することは好きだったんです。そういう私を見て母から"バレエに限らず、色んな表現にチャレンジしてみたらどう?"というアドバイスもありました。そんな時期に、新聞で母が蜷川さんの舞台のオーディションがあることを見つけて、書類を送りました。そしたら書類審査が通ったんです」

――それまで蜷川幸雄さんの作品は?
「全然観たことがありませんでした。娘さんの蜷川実花さんの写真は見ていましたけど……」

――では、とりあえず書類を出してみたという程度だった?
「バレエがやりたい気持ちが残っていたんですね、その時は。母の勧め通りにオーディションに書類を送ってみたけど、私は200%落ちると思っていたんです。それで"ほら、落ちたでしょ。だからもう少しバレエを続けたい"って言えるようにするためのものでもあったんです。だけど書類が通って、最初の審査は面接だったのですが、何も中身がない。熱意もなければ、なんで私ここにいるのって気持ちだったんです。周囲は物凄いやる気のある人ばかりで、驚きました。『ガラスの仮面』は読んでいたので、まさにオーディション会場がマンガの中みたいな世界。それで私、完全にビビってしまって(笑)。答えたことも支離滅裂だったと思いますね。それでもう落ちたかなと思ったんですけど、次に進めて。そうするとだんだん自覚が芽生えてくるんですよね。どんどんと人が落ちていく中で私は残してもらえた。オーディションが2次、3次と進んでいくと、課題をもらうんです。だんだん課題には真摯に取り組むべきだと思うようになって、最終オーディションの時には、どんな役でもいいからこの舞台に出たいと思うようになっていました」

――例えば草刈民代さんのように、バレエの世界から役者に転身する方もいらっしゃいます。表現という大きなくくりで言うと、共通点も多いのでは?
「そうですね。それは凄くあると思います。舞台に立つという意味では変わらないというか、バレエにもやっぱり演技ってものが必要となる絶対にあると思うんで。ただバレエの場合はそれを全部動きでやっているという……。話が決まっていて、その方法はずっと昔から決まっていますから。お手本があって、それに近づいていくために長い時間をかけて稽古していく感じですね。お芝居はもっと自由というか、お手本のようなものを追いかける感じではないので。それにセリフを喋るのはやっぱりまだまだ課題が残っています。セリフを言うことに対してコンプレックスがあるので、言葉を自分のものにするためにまだまだ経験が足りないと思います。ダメだと思い過ぎるのはよくないけど、自分はセリフがダメなんだということをきっちり自覚して、それを出来るようにしたい」

――舞台を重ねていくことで成長なさっていると思いますよ。
「そうですか。自分に積み重なっていくものはあると思います。凄く変わったというか、初演の時は大変だったけど"頑張ればなんとなる!"という強い気持ちで、ある意味怖いもの知らずの勢いがありました。その時の自分、羨ましいと思うこともありますね(笑)」

――今後、どういう作品をやりたいですか?
「なんでもやりたいです。映画もやりたいですし、舞台ももっと色んなものがあるから。舞台に関しては一生の仕事にしたいと思っています」

――最近何かご覧になった舞台は?
「そうですね……。ナイロン100℃の若手公演の『亀の気配』が面白かったですね。小さい劇場の作品を観に行くのって好きなんですよ。小さな劇場で芝居してみたいです」

――好奇心が旺盛ですね
「でも仕事以外では、物凄く保守的なんです。出不精だし。自分から何かをしようというタイプではありません。なんでもやりたいってことは、来たものは必ずやるというスタンスだと言い換えていいかもしれません。なんでもやることで、もっと成長していかないといけないと思いますし。それに人間をもっと多くの人に見てもらえるチャンスでもありますから。最終的には『いい芝居』をしたいから、そこに行くのが目標。どの段階でそこに行けたと思えるのかはわからないですけど」

――そういう意味でも『タンゴ』の共演者達は奥村さんのステップにとっていい影響を与えてくれそうです。
「そうですよね。ここで学ばなければ私は何をしに稽古場へ行っているんだ!  ってくらいの気持ちで毎日通っています(笑)。『メタルマクベス』で、(森山)未來さんが出演していて、歌い踊るシーンがあるんですけど、そのシーンが物凄いエネルギーを発しているんです。『ガラスの仮面』の稽古の時期、そのDVDになった映像のシーンを見て気合を入れていました。今回、みなさんとご一緒出来て凄く嬉しいんですよね」

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